調教3
久遠は、どん欲に快楽を求め、ハードな調教を自ら望む。
調教されはじめたばかりだというのに、たいした度胸だ。おそらく自分の肉体を弄ることへの興味は高いのだろ。
たとえば、肛門調教の初日から、久遠は初心者にはかなりキツイだろうディルドーを、難なくアナルで呑み込んだ。調教前から興味本位に自分で弄っていたのだろう。
挿入の際のため息やあえぎ声は、苦痛のためと言うより既に、快感の色を呈していた。
久遠はどうも私が調教している他の奴隷達に対して激しい嫉妬心や敵対心を抱いており、他の奴隷達に対して自分の優位性を早く確立したがっているようだ。そのため、まどろっこしい(と本人が思いこんでいる)肛門拡張の過程を自分で済ませることで、私が先行して調教している他の奴隷達にしているようなプレイを、早く自分でも経験し、場合によっては他の奴隷達の先を行きたいと焦っているのだ。
よりハードな、より高度な調教を求め、フタアナにバイブレータを装着しての登校や教室での露出プレイなどにも積極的だ。閉塞した過疎地で育ったことから社会性に欠けているため、本人の中にハードルが存在しないのかもしれない。
他の奴隷達に1年かかってクリアさせた課題を、久遠は3ヶ月あまりで突破している。
常に他の奴隷の調教進行度合いを気にし、調教をはじめて数年たつ他の奴隷と、まだ半年の自分を同等に考え、追い抜こうとするようなところが、久遠を学業面でも優等生としている部分なのだろう。負けん気が多少強すぎるが、一生懸命無理をしている部分が魅力でもある。
「今日は少しきつめの調教をするぞ」
久遠の瞳が期待で輝く。
「どんなことをしてくださるのですか……?」
「お前の乳房をぎちぎちに縛り付け、脚を大きく開いた状態で固定する」
「え、M字開脚というものですか?」
「そうだ、よく知ってるな、勉強熱心な奴隷だ」
「そんな……聞いたことがあっただけです……」
嘘をつけ。おそらく、そうされている自分を想像して指で秘裂を擦りつけたことが幾度もあったのだろう。
「容赦なく縛りつけるぞ。おま*こも尻の穴も自由にされちまういやらしい恰好だ。声を出せないようにギャグボールを噛ましてやろう。そしてそのまま私はしばらく出かけてくる」
「え……! そんな、もし誰か来たら……」
「しらないね。いやらしい恰好で出迎えるんだな。もしかしたら、そのままいいようにされてしまうかもしれないが……望むところなんじゃないのか?」
「そんな、いやです! ご主人様以外の人にそんな……」
口では嫌と言いながら、瞳は充血して潤んでいる。頬が上気し、肌に火照りが浮かぶ。
抵抗できない恥ずかしい姿のまま、輪姦され、激しい陵辱を受ける自分を想像して久遠は興奮しているようだ――。
他の奴隷は、調教を通して私に特別な感情を抱いたり、私との関係が他の男性と恋愛をしたりする際の支障になったりすることがままあったが、久遠の場合は、そういった懸念を一切感じさせない。
純粋に、快楽を軸とした契約関係を私と結んでいるのだと割り切っているのだ。
その割り切り方は見事なもので、久遠の中には、私との社会的な関係や道徳観などは一切存在しないかに見える。
久遠が大牧場の娘として、育てた命ある家畜を、肉や毛、卵やミルクなどと、商品として解体している家業に育ったことが、メンタルな面と肉体的な快楽を分けて考える割り切りに大きく影響をしているのかもしれず、興味深い。
ただし、幼い頃に一方的に名を付け、可愛がっていた羊の出荷から、羊肉を今でも受け付けなくなったというセンチメンタルな一面も持っている様子で、そういったアンバランスさが今後調教を続けていく上で、久遠のメンタル面と肉欲との均衡を崩す可能性もあり、注意が必要か――。